事業の概要

1 分収造林事業

 林業公社は公益法人として昭和41年に設立され、国の造林推進施策の一環として、独自では効率的な森林整備が困難な多数の土地所有者と分収造林契約を締結することにより、団地化による効率的な造林を実施し、山村地域の振興や雇用機会の創出並びに森林の有する公益的機能の維持増進に寄与してきた。

第1期公社造林長期計画(昭和42年度から昭和61年度)では目標造林面積1万ヘクタールに対し、昭和57年度末で9千973ヘクタールの造林を行い、計画より4カ年早く目標を達成した。
 引き続き、昭和58年度に第2期公社造林長期計画(昭和58年度から平成14年度)を策定し、造林面積8千5百ヘクタールを目標に実施してきたが、昭和62年7月に全国森林計画が改定されことに伴い、第2期公社造林長期計画の見直しを行い、造林の終期を平成22年まで延長するともとに目標造林面積を5千ヘクタールに縮小し、以後、年次計画に基づき4千27ヘクタールの造林を行ってきた。

しかし、事業費の多くを借入金に依存していることや外材の大幅な輸入増加、木材価格の低迷など社会経済環境の変化による極めて厳しい経営状況が見込まれることから、新植を平成8年度で取りやめるとともに、長伐期・大径材化による収入の増加を図るため、土地所有者との話し合いにより契約の存続期間を当初の45~55年から60~80年に変更するよう進めるとともに、経費削減の徹底を図るなど経営努力を続けてきた。

また、平成14年12月に策定された石川県行財政改革大綱の課題を受け、有識者からなる「分収造林事業の経営改善に関する検討会」を設置し、長期収支見通しの試算、造林地の管理主体のあり方、県等の財政支援による支払い利息の軽減、公社の経費削減の徹底や分収比率の見直し等による収入の増加策、他県と連携した国等への支援要請の強化などの課題について議論を積み重ね、平成17年2月に「分収造林事業の経営改善計画」を策定した。林業公社においては、その提言を踏まえて改善策に取り組んだ他、高性能林業機械の普及による木材生産コストの低減など林業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、平成23年2月に「長期収支試算の見直し」にかかる報告等をとりまとめた。
 現在、公社の造林地は、331団地、土地所有者延べ6千388人、面積1万3千704ヘクタールとなり、本県人工林面積の約14パーセントを占めているが、その林齢は、平均43年生(R3末)であり、今後も間伐等を効率的かつ適切に実施し、森林の公益的機能の維持増進と将来の伐採収入の確保を図っていくこととしている。

公社は、今後とも森林整備の担い手として課せられた役割を着実に果たしていくため、関係者の理解と協力を得て、「経営改善計画」の実施に鋭意取り組んでいる。

 市町別公社造林地面積

2 公社有林事業

 林業公社有林は、公社財産を造成するとともに、県土の保全、水資源のかん養、自然環境の保全・形成等の多様な公益的機能の高度発揮及び地域林業経営の模範となるモデル林の造成を目的として、県内6市町で475.62haを取得し、それぞれの経営目的に添って管理している。

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3 分収育林事業(緑のオーナー制度)

  平成6年、本県で開催された全国育樹祭を契機として、県民の森林に対する関心の高まり等に対応し、県民参加による森林づくりを推進するため、分収育林事業を実施している。
 林業公社が、成育途上にある造林地を対象に、その後の育林費を負担してもらう費用負担者(緑のオーナー)を募り、森林の管理を行い、緑のオーナー、土地所有者の三者が共同して森林を育て、この森林から得られた収益を契約に従って分け合う制度である。
  平成6年度に輪島市門前町鬼屋地内で、平成8年度はかほく市笠島地内、さらに平成9年度は七尾市中島町河内地内の公社造林地を分収育林地として、県内外から「緑のオーナー」を募集し、分収育林契約を締結している。

実施年度

平成6年度

平成8年度

平成9年度

森の名称  

門前名水の森

笠島の森

能登中島河内の森

森  林

樹種・林齢

スギ20年生

スギ27年生

スギ30年生

面  積

2.85ha

2.00ha

2.00ha

契約内容

口  数 

50口

35口

35口

契約期間  

   平成6年から  
令和12年

平成8年から
令和6年

平成9年から
令和4年

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白山林道事業

白山林道は森林開発公団(現 国立研究開発法人森林研究・整備機構森林整備センター)
が石川県白山市と岐阜県白川村を結び、白山地域の未開発森林資源の開発を目的として、昭和42年に着工した。同時に県は、多目的な幹線林道として利用するため、2車線化の事業を公団に委託し、昭和51年に完成した。
 同年に公団より、さらに県ヘ移管され、県から当林業公社に管理移管され、昭和52年から有料道路として岐阜県と連携しながら管理運営をしている。林道は白山国立公園を横断して、新緑・紅葉が清流に映える蛇谷渓谷や「日本の滝100選」に選ばれた姥ケ滝、ふくべの大滝など大小さまざまな滝群や山頂付近のブナの原生林、白山の眺望など見どころも多く、訪れる人々に楽しまれている。
   なお、利用台数については、平成6年の127,686台/年をピークに減少傾向が続いてきたことから、平成27年の北陸新幹線の開通に合わせて、それまでの「白山スーパー林道」の愛称を 「白山白川郷ホワイトロード」と変更するとともに、料金も半額としたところであり、現在は80,000台/年の利用台数を目標にPRに努めている。

区  間

 石川県白山市から岐阜県白川村

延   長

 33,331m(石川県18,591m 岐阜県14,740m

幅   員

 6.5m(全線2車線)